ベルリンの壁はどうなったのか。ベルリンの壁の現在

 

ドイツの首都であるベルリンですが、ドイツを旅行する際に訪れる人も少なくないでしょう。そんなベルリンには様々な観光スポットがあります。例えば、世界遺産に選ばれている博物館島、そして街のシンボルとも言えるブランデンブルク門があります。しかし忘れていけないのは「ベルリンの壁」です。ベルリンの街に聳え、人々の暮らしを引き裂いてきました。そんな壁は崩れ落ちて多くの年月が経っているため、今の状況が気になる人もいるでしょう。そこで今回は現在のベルリンの壁の状況について紹介したいと思います。

 

ベルリンの壁が築かれた背景

ベルリンの壁

まず壁が築かれた背景を簡単に紹介したいと思います。第二次世界大戦後に敗戦国であるドイツは、戦勝国である西側諸国とソ連に管理されることになりました。しかし戦勝国の対立によって、西側諸国が後ろ盾の西ドイツ、そしてソ連が後ろ盾の東ドイツが誕生します。また首都のベルリンも同様に西と東に分裂することになりました。ただしベルリンの場合は東西分割後も往来が可能であったため、東ドイツの人々が西ベルリンへと逃れたのです。そこで東ドイツは1961年に人口の流出を防ぐために壁を築いたのでした。

 

総延長150キロ以上の壁に囲まれていた西ベルリン

ベルリンの壁

このようにして築かれたベルリンの壁ですが、ただ街の東西を分離していたわけではありません。そもそもベルリンは東ドイツ側にあったため、東ドイツの中にある陸の孤島のようになっていたのです。つまり、ベルリンでは東ドイツと西ベルリンとの間にも壁が築かれていたのでした。そのため西ベルリンは完全に壁に囲まれた形となり、街を囲むベルリンの壁の総延長はおよそ150キロ以上もあったのです。

 

街から姿を消したベルリンの壁

ベルリンの壁

ベルリンの壁が崩壊したのは今からおよそ30年ほど前の1989年。多くの年月が流れた現在ではベルリンの壁はその姿を消しています。特に街の中心部に築かれた壁は道を隔てるなど、人々の往来を妨げていました。また再び一つになった街は急ピッチで再開発されることになります。そのため壁の存在理由が無くなった以上、非常に邪魔なものとなりました。こうして壁は街から消え去り、保存されている場所を訪れない限り、ベルリンの壁を見ることはできなくなったのです。

 

市内に残された壁の痕跡

ベルリンの壁

ベルリンの壁は姿を消しましたが、その痕跡が完全に消えたわけではありません。例えば、街中にある壁の跡を辿れば、壁の痕跡に気が付くことができるでしょう。なぜなら壁のあった場所には印が残されているからです。壁の跡には石が嵌め込まれており、それが1本の線となって伸びています。こうした印は壁の存在を感じさせてくれるでしょう。また壁の両側が全く違和感の無い形で繋がっており、街の発展や開発のスピードに驚かされるかもしれません。

 

郊外では風景として残る東西の境界

ベルリンの壁

市内とは対照的に、郊外では壁も残されていなければ、印なども付けられていません。そのため壁の痕跡に気付くことは簡単ではないでしょう。ただし視点を変えると壁の跡に気付くことができるのです。というのも郊外では西ベルリンだった住宅街、東ドイツだった耕作地がそのまま残っており、風景から見てとれるのです。これは東西ドイツ時代に西ベルリンが壁の手前まで宅地開発を行ったため、壁の手前まで住宅が広がり、開発が行われなかった東ドイツと対照的な風景を生み出しているのです。

 

観光スポットとして有名なイーストサイドギャラリー

ベルリンの壁、イーストサイドギャラリー

このように壁はほとんど失われているのですが、ベルリンの壁を保存して今も当時のままに展示している場所が3箇所あります。いずれも位置するのは市内の中心部。おそらく最も有名なのがイーストサイドギャラリーです。こちらではシュプレー川沿いに1キロ以上の距離にわたってベルリンの壁が残されています。そんな壁に世界各国のアーティストがイラストを描いているため、ここでは様々なイラストを見て楽しむことができるでしょう。

 

イーストサイドギャラリー(East Side Gallery)

アドレス : Mühlenstraße 3-100, 10243 Berlin

Web-Page :  http://www.eastsidegallery-berlin.com/

本ページでの紹介 : ベルリンの壁に描かれた壁画、イーストサイドギャラリー

ベルリンの壁の本来の姿を見ることができるベルリンの壁資料館

ベルリンの壁

個人的に最もお勧めしたいのが、ベルリンの壁資料館(ベルリンの壁メモリアル)です。こちらではベルリンの壁の手前にあった壁も残されています。東ドイツでは壁の手前に壁を築いて、壁と壁の間に無人地帯を作り、西側へ逃れられないようにしていたのです。こうした本来の壁の姿を残しているのは唯一こちらの場所だけ。広大な屋外スペースには壁が撤去されている場所もありますが、そこにはポールが連なって立てられており、壁の存在を感じることができるでしょう。ベルリンの壁を見るならば、ここは絶対に訪れて欲しい場所です。

 

ベルリンの壁資料館/ベルリンの壁メモリアル(Gedenkstätte Berliner Mauer)

アドレス : Bernauer Str. 111, 13355 Berlin

入場料 : 無料

Web-Page :  http://www.berliner-mauer-gedenkstaette.de/

本ページでの紹介 :  ベルリンの壁の構造を理解するなら必見の場所、ベルリンの壁メモリアル

100メートルほど残されているテロのトポグラフィー横のベルリンの壁

ベルリンの壁

最後に紹介するのはベルリン中心部の商業エリアであるポツダムプラッツ近くに残されたベルリンの壁です。こちらはテロのトポグラフィーと呼ばれるナチス時代の秘密警察の資料などを展示する建物に沿って残されています。他の場所と比べると壁がただ残されているだけですが、それでも100メートル近くにわたって伸びる壁の存在は、街がどのように引き裂かれていたかを簡単に想像させてくれます。もしポツダムプラッツを訪れるなら、合わせて訪れて欲しい場所です。

 

ベルリンの壁(Berliner Mauer)

アドレス : Niederkirchnerstraße 1, 10117 Berlin

今回はベルリンの壁の現在の状況について簡単にまとめてみました。もし壁の歴史的な経緯など知りたい方は下記の記事も読んでみてください。

ベルリンの壁の歴史について

ベルリンの壁の現在、桜並木となった壁の跡地

ベルリンの壁を訪れるなら、訪れておきたい場所7選