バウハウスのシンボル、デッサウのバウハウス校舎

ドイツにはかつてバウハウスと呼ばれる美術学校がありました。それは20年に満たない短い活動期間にも関わらず、今なお美術やデザイン、そして建築の領域に大きな影響を与え続けています。そんなバウハウスですが、その先進的な考えを形にしたものがあります。それはドイツ中部の都市デッサウに建てられたバウハウスの校舎です。今では世界遺産に登録されているなど、バウハウスを語る上で避けては通れないものでしょう。今回は、そんなデッサウに建てられたバウハウスの校舎について紹介したいと思います。

バウハウス校舎

バウハウスとは

バウハウスは1919年にドイツのヴァイマールで設立された建築やデザインなどの教育を行った美術学校です。世界的な建築家として知られているヴァルター・グロピウスが初代の学長なりバウハウスを設立しました。バウハウスでは、今では歴史に名を残すパウル・クレー、ワシリー・カンディンスキー、リオネル・ファイニンガーなどのアーティストが教師として携わっており、多くの著名なデザイナー、アーティスト、建築家を排出しています。またバウハウスでは、当時台頭していた大量生産に適応して合理性や機能性を押し進め、モダニズムと呼ばれる建築やデザインの考えを定着させる重要な役割を果たしたのです。そんな美術、デザイン、そして建築に大きな影響を及ぼしたバウハウスですが、1933年にナチスの台頭によって、その役割を終えたのでした。しかしバウハウスで教えた教官や、そこで学んだ生徒が世界へと散らばり、バウハウスの流れを汲んだ新しい学校を設立するなど、その影響は終わることなく今も続いているのです。

バウハウス

世界遺産にも登録されたバウハウスの校舎

今回紹介する校舎は1925年にデッサウに移転した後に建てられたもの。デッサウではバウハウス関係者が幾つかの建物を建てるなど、バウハウスの黄金期を迎えました。しかし、その先鋭的な考えからナチスに危険視され、1932年にベルリンに移転することになり、1933年には閉校したのでした。その後、バウハウスの校舎は第二次世界大戦よって被害を受けるも、戦禍ををくぐり抜けます。またバウハウス再評価の動きを受けて、1976年には改築されていた建物は本来の形へと戻されています。そして1996年には世界遺産に登録されて、今では多くの人が訪れる場所になったのです。

デッサウにはバウハウス関連の建物が多く残されています。デッサウのバウハウスの建物については、下記の記事で紹介しています。

デッサウで必見のバウハウスの建物

バウハウス

バウハウス校舎を手がけたヴォルター・グロピウス

バウハウスの校舎を手がけたのは建築家ヴォルター・グロピウスです。しかしグロピウスはただ校舎を建ているだけではありません。バウハウスでは初代の学長を務めており、バウハウスの方向性に大きな影響を与えた人物なのです。そのため、デッサウの校舎はバウハウスの思想が形になったものといえるでしょう。またグロピウスは、校舎を構えるデッサウの街で、バウハウスの教官が暮らす建物マイスターハウスや職業安定所など幾つかの建物を手がけています。こうしたグロピウスが手がけた建物は、校舎と共にバウハウスの考えを伝えてくれるでしょう。

バウハウスの教官が暮らしたマイスターハウスについては、下記の記事でも紹介しています。

デッサウでぜひ訪れたいバウハウスのマイスターハウス

バウハウス

バウハウス校舎について

バウハウス校舎ですが、シンプルで装飾を施されておらず、その外観はとてもモダンなものに感じられるでしょう。このような建物は異なる役割の建物を組み合わせた形となっています。ガラス窓で覆われた工房の棟、授業が行われていた棟、そして背の高い学生寮となっていた棟です。工房と授業用の棟はブリッジとなった管理棟で繋がれていています。また学生寮と工房の間は食堂やホールで繫がれています。こうした役割の異なる建物を組み合わせたのがバウハウスの校舎なのです。

バウハウス

パウハウス校舎のモダンな空間

シンプルでモダンな建物の中に入ると驚かされるでしょう。工房の棟はガラス窓で覆われ、中には明るい空間が広がっています。壁全体覆う大きなガラス窓が取り込むのは外の光だけではありません。外光と共に外の風景を取り込んでいます。そのため内部空間は明るく開放的に感じられるのです。このような建物は全く古さを感じさせません。それどころか現代の建物と言われても納得してしまうほどです。実際に建物内部でその建築空間を体験すると、バウハウスの校舎がおよそ100年前に建てられたことに驚かされるはずです。

バウハウス

バウハウス

バウハウス校舎の現在

現在バウハウス校舎はバウハウスの資料を展示する博物館となっています。2019年にデッサウには新しいバウハウスの美術館が開館しており、バウハウス関連の作品や資料はそこに集められています。しかしバウハウスの校舎では、バウハウスの建築空間を体験できる場として重要な役割を果たしているのです。また学生寮だった棟は現在宿泊施設として利用されており、そこでも滞在を通してバウハウスの空間を楽しむことができるでしょう。そのためバウハウスの校舎は、資料展示からバウハウスを知ることができ、宿泊を通じて存分に建築空間を堪能できる素晴らしい場所になっているのです。

バウハウスの校舎では宿泊することができます。宿泊についてのレポートはこちらの記事をご覧ください。

世界遺産に指定されているデッサウのバウハウス校舎での宿泊

 

バウハウス・デッサウの校舎 / Bauhausgebäude

アドレス: Gropiusallee 38,  06846 Dessau-Roßlau

開館時間: 10〜17時

休館日: 無し/ 3〜10月、月曜 / 11〜2月

入館料: 9ユーロ

Web-Page: バウハウス・デッサウの校舎